幽かなるモノ!
私が、初めて「それ」に会ったのは、47年前の10月29日。
何故、これほど克明に覚えているかと言うと、息子の産まれた日なのだ。
前年、娘を出産した時は、まだ以前の病室で畳敷き、冷暖房など当然無く、母子の寝具も持参したし、暖をとるのに火鉢まで持ち込んでいた。
入院中は火鉢の上でおしめを乾かしていた。
その後、冷暖房完備の新病棟が出来、寝具も新生児用の衣類もおしめも退院までは、病院側で用意してくれると言う事で、身軽な入院だった。
病室にはクリーム色のカーテン・ベッドには真っ白なカバーリングされた寝具が・・・付添い用のベッドまで完備されていたが、何故か枕が無かった。
「枕は・・?」
私の言葉が終わらぬうちに、おかしいほどの狼狽ぶりで、病室に案内してくれた看護婦は駆け出し、枕を持って来た。
看護婦は二三の注意事項の後で、
「それから枕は絶対に、持って帰らないでください! ねっ!」
私と、付き添いの遠縁のサヨちゃんに念を押して言った。
「はい」
と返事はしたものの、看護婦が立ち去った後
「そんなに、良い枕かぁ」
念をおされるほど、高価とも思えない、ちょっと小ぶりのソバガラの枕を、眺め不審に思った。
予定日は10月の初めだったが、居心地が良いのか、なかなか兆候を現さず、この日が限度と帝王切開での出産だった。
その夜。
ふと、目覚めると、ベットの足もとに腰かけて、オレンジ色の寝巻を着た、女の人が赤ちゃんにお乳を飲ましていた。
私は術後、腹部に砂袋をおかれ、アーチ型の金具を装着され、身動き出来ない状態である。
大きな声を出すのも、傷口に響いて痛いので、小声で
「誰か部屋間違えて、入ってきとる・・・」
横で寝ているサヨちゃんを起こした。
「どこに・・・?」
寝ぼけ顔のサヨちゃんに
「ほれ、足もとにオレンジ色の寝巻で乳飲ませよろうが」
「・・・・・」
次の日、サヨちゃんが聞いてきた話。
この部屋で、難産の末、赤ちゃんを産んでお母さんは亡くなった。
助かった赤ちゃんだけが、まだ新生児室にいること。
お母さんはオレンジ色の寝巻を着ていた。
亡骸を家に連れて帰る際、病院の枕も一緒に持っていったらしい。
一週間後の夜、サヨちゃんに車椅子でトイレに連れて行ってもらった。
個室のドアを開けたら、オレンジ色の寝巻が―
私は声を発する間も無く、その場で気を失った。
この話を聞き、父は「般若心経」と「御守」を送って来てくれた。
余談ではあるが、この時、隣の病室に裕次郎の叔母さんが入院していて、裕次郎がお見舞いに来たとかで病院中、大騒ぎだった。
二日ほど前の夜の事。
寝付きの悪い、熱帯夜。
ベッドに横にはなったものの、二人とも眠れずにいた。
ふいに、枕元のカーテンが、揺れて大きくふくらんだと思ったら、何とも言えない、香しい花の匂いが吹き込んだ。
Jikoに
「なんか、花の良い香りがするなぁ」
と言うとJikoも
「うん。花の匂いや」
優しく甘い花の香りが部屋に満ち溢れていく。
その時、見えたのではない、幻覚でもない、あくまでも私のイメージである。
「優香」のような顔をした綺麗な花柄の着物を着た少女。
私はとっさに、ちょっとドスを利かせた声で「般若心経」を唱え始めた。
半分ぐらい、唱えたところで、花の香りの空気がふうーと、動くのが感じられた。
『出てけ!』
と一喝して読経を続けた。
私の両足をかすめて、花の香りは風呂場へと出て行った。
私はほどなく眠りについたが、Jikoはなかなか眠れずにいたと―
なぜなら、私の枕元の窓の外でガタガタ・ゴトゴトと音が暫く続いていたそうだ。
私に結界をはられ、入れないモノがいたのだろうか―
ひょっとしたら、現時代の座敷童子だったのだろうか!
だったら、悪い事したな、可愛い子だったのに・・・とか思っていたら、次に日、触られた足、膝から下に蕁麻疹が出た。
と言うことは、あれは蝶の化身だったかも―
私はちぃさい時から、蝶の鱗粉に触れると、触れたところに蕁麻疹が出るのだ。
ムヒを買いに走った。
何故、これほど克明に覚えているかと言うと、息子の産まれた日なのだ。
前年、娘を出産した時は、まだ以前の病室で畳敷き、冷暖房など当然無く、母子の寝具も持参したし、暖をとるのに火鉢まで持ち込んでいた。
入院中は火鉢の上でおしめを乾かしていた。
その後、冷暖房完備の新病棟が出来、寝具も新生児用の衣類もおしめも退院までは、病院側で用意してくれると言う事で、身軽な入院だった。
病室にはクリーム色のカーテン・ベッドには真っ白なカバーリングされた寝具が・・・付添い用のベッドまで完備されていたが、何故か枕が無かった。
「枕は・・?」
私の言葉が終わらぬうちに、おかしいほどの狼狽ぶりで、病室に案内してくれた看護婦は駆け出し、枕を持って来た。
看護婦は二三の注意事項の後で、
「それから枕は絶対に、持って帰らないでください! ねっ!」
私と、付き添いの遠縁のサヨちゃんに念を押して言った。
「はい」
と返事はしたものの、看護婦が立ち去った後
「そんなに、良い枕かぁ」
念をおされるほど、高価とも思えない、ちょっと小ぶりのソバガラの枕を、眺め不審に思った。
予定日は10月の初めだったが、居心地が良いのか、なかなか兆候を現さず、この日が限度と帝王切開での出産だった。
その夜。
ふと、目覚めると、ベットの足もとに腰かけて、オレンジ色の寝巻を着た、女の人が赤ちゃんにお乳を飲ましていた。
私は術後、腹部に砂袋をおかれ、アーチ型の金具を装着され、身動き出来ない状態である。
大きな声を出すのも、傷口に響いて痛いので、小声で
「誰か部屋間違えて、入ってきとる・・・」
横で寝ているサヨちゃんを起こした。
「どこに・・・?」
寝ぼけ顔のサヨちゃんに
「ほれ、足もとにオレンジ色の寝巻で乳飲ませよろうが」
「・・・・・」
次の日、サヨちゃんが聞いてきた話。
この部屋で、難産の末、赤ちゃんを産んでお母さんは亡くなった。
助かった赤ちゃんだけが、まだ新生児室にいること。
お母さんはオレンジ色の寝巻を着ていた。
亡骸を家に連れて帰る際、病院の枕も一緒に持っていったらしい。
一週間後の夜、サヨちゃんに車椅子でトイレに連れて行ってもらった。
個室のドアを開けたら、オレンジ色の寝巻が―
私は声を発する間も無く、その場で気を失った。
この話を聞き、父は「般若心経」と「御守」を送って来てくれた。
余談ではあるが、この時、隣の病室に裕次郎の叔母さんが入院していて、裕次郎がお見舞いに来たとかで病院中、大騒ぎだった。
二日ほど前の夜の事。
寝付きの悪い、熱帯夜。
ベッドに横にはなったものの、二人とも眠れずにいた。
ふいに、枕元のカーテンが、揺れて大きくふくらんだと思ったら、何とも言えない、香しい花の匂いが吹き込んだ。
Jikoに
「なんか、花の良い香りがするなぁ」
と言うとJikoも
「うん。花の匂いや」
優しく甘い花の香りが部屋に満ち溢れていく。
その時、見えたのではない、幻覚でもない、あくまでも私のイメージである。
「優香」のような顔をした綺麗な花柄の着物を着た少女。
私はとっさに、ちょっとドスを利かせた声で「般若心経」を唱え始めた。
半分ぐらい、唱えたところで、花の香りの空気がふうーと、動くのが感じられた。
『出てけ!』
と一喝して読経を続けた。
私の両足をかすめて、花の香りは風呂場へと出て行った。
私はほどなく眠りについたが、Jikoはなかなか眠れずにいたと―
なぜなら、私の枕元の窓の外でガタガタ・ゴトゴトと音が暫く続いていたそうだ。
私に結界をはられ、入れないモノがいたのだろうか―
ひょっとしたら、現時代の座敷童子だったのだろうか!
だったら、悪い事したな、可愛い子だったのに・・・とか思っていたら、次に日、触られた足、膝から下に蕁麻疹が出た。
と言うことは、あれは蝶の化身だったかも―
私はちぃさい時から、蝶の鱗粉に触れると、触れたところに蕁麻疹が出るのだ。
ムヒを買いに走った。
No title
- 2011/08/11(木) 18:34:58 |
- URL |
- ひげ
- [ 編集 ]
おっちゃんもお盆に似たような経験有り毎度のように金縛りにあう・・・そのときは親戚の子供が来ていたので、そちらに災いがあると困るので、一言叫んだ・・・「いいかげんにせぃよ!!」それ以来、古い前の家では不審な物音がしなくなった・・・。
有ります・・・そんなこと・・・・。笑)
★コメント有難うございます
- 2011/08/11(木) 23:22:10 |
- URL |
- Bako
- [ 編集 ]

と言うことは・・・おひげさまも相当優しい方なんですね.*・゚☆ヾ(^∇^)ノ☆゚・*. ウフ
そう、しっかり声に出して言うと、良いらしい!
化けて出られるほど、人に恨みをかうような、悪いことはしてないと思うので・・・
有りますよね!不可思議な事・・・
背中がゾクゾク~>_<;
- 2011/08/13(土) 00:03:23 |
- URL |
- きつつき
- [ 編集 ]
私も、若い頃からよく金縛りにあいました。
娘を産んでしばらくまで続いたのですが、
その時はダルマの絵を処分した時からよくなりました。
でも、今朝方勝手口から男の人が入ってきた気配が・・・


もちろん! 渇っ !! すっと気配が無くなりました。
5時前ぐらいでしょうか・・・>_< 最近また、時々気配を感じるときがあります

★コメント有難うございます
- 2011/08/13(土) 00:23:48 |
- URL |
- Bako
- [ 編集 ]

あーちゃんも、やっぱり優しいんだ(笑)
以前、UPしてたよね。
その辺りは、平安の昔から、その類の多いところだから・・・
陰陽師がいたくらいだもんね。
歳は・・・あんまり関係ないと思うけど―

マナコちゃんも・・・
ああ~~やっぱり、うちに来られる方は、優しい方ばかり!
私、ダルマの絵は持ってないわ。
ひょっとして「隠し男」?な訳ないよね!
「だんなさま命」のマナコちゃんに限っては・・・(笑)
ストーカーかも知れないから、気をつけて―
No title
- 2011/08/13(土) 11:42:06 |
- URL |
- greencafe
- [ 編集 ]
みなさま一様に…あるのですね、お優しい方々ばかり。
私には全くもってありません…寝てるとき足ツルぐらい(運動不足)、金縛り!?と思うことはあっても、激疲れがそうさせているみたいで、めったにありません。
できることならこのままで(小心者です)…と、ご先祖さまとじいちゃん、ばあちゃんのお墓にしっかりお参りしてきます…。
★コメント有難うございます
- 2011/08/14(日) 12:19:21 |
- URL |
- Bako
- [ 編集 ]

経験しないに、こしたことはありません。
大丈夫!
姉御には、よりつく隙もないのでしょう(笑)
ご先祖様に手を合わせることは、良い事です。
ご先祖様がいらっしゃったから、今、こうして姉御がいるんですから―

その、話を聞くまでは、怖いともなんとも思っていませんでした。
その後も、不可思議な経験はしましたが「それ」
を見たのは、この時だけです。
>「哀しい」存在なんですね・・。 そう思います。
元気で、成長していれば47歳のオジサンかオバサンになってるでしょう。

波長が合わなけば、見えないんですって・・・
私はたまたま、その時合ったんだと思う。
気配は感じても、その後見ることありません。
ほとんどは「正体見たり枯れ尾花」ですよ!
さすが…(汗
- 2011/08/17(水) 03:24:07 |
- URL |
- 時雨空
- [ 編集 ]
まぁ居ても良いかなって最近では思っています。
勿論見えない程度で…(汗
私は全く見えないんですよ…。
一度だけ夢うつつの時に
愛犬の面影が天井に浮かんだ事があるけど
それも特に怖くなかったのでそのままにしてたら消えちゃった…。
★コメント有難うございます
- 2011/08/18(木) 00:38:57 |
- URL |
- Bako
- [ 編集 ]

シックスセンス無いにこしたことはありません。
このご時世、生きてる人間の方が余程怖いですね。
猫は化けるとか、三代祟るとか言われますけど、犬については聞いたことがないので―愛犬ならなおさらでしょう。